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エンジン運転時の軸受廻りの潤滑油の挙動(分布)を可視化する研究を行い、軸受の形状の違いによる油膜形状の差異を確認した。(図87)
この結果、動荷重下での油膜の挙動が確認され、油膜形状は、軸の潤滑油供給孔から円弧状に広がること、および軸受の油溝からは、扇型に広がることがわかった。
また油膜形状は、軸受形状や回転数に依存し、回転数が高い程、鋭角的になることがわかった。

 

a)260mm試験エンジン
第1ステップにおける油膜厚さを、クランクピン軸受およびジャーナル軸受について、解析を実施した。
この結果、最も厳しいクランクピン軸受の最小油膜厚さが、従来対比で約15%薄くなることがわかった。(図88)

 

b)320mm試験エンジン
クランクピン軸受およびジャーナル軸受の軸受性能について、解析を実施した。
この結果、ピン部の最小油膜厚さが従来に比べ、約20%薄くなり、危険域に入ることがわかった。
油膜厚さを回復するために、潤滑油温度を下げることが有効と考えられるため、エンジン入口で約10℃下げることとした。
これにより、油膜厚さの減少は約5%にとどまり、問題ないものと判断された。(図89)

 

プロトタイプエンジンにおいて、シリンダピッチを短縮する場合、軸受幅の低減が必要となる。
このため、軸受幅を標準および10、20%低減した場合の軸受性能について解析を行った。
油膜厚さは、標準幅に比べ軸受幅10%減の場合で約20%、軸受幅20%減の場合で約40%低下し、従来のレベルに比べ過酷な条件となることがわかった。(図90)
このため、軸受幅を低減する場合は、耐摩耗性、耐荷重性能などに優れるリーレンラガー軸受などを採用する必要があることがわかった。

 

 

 

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